魅惑のプラチナノワール

コラム

深いV字型の金継ぎの線に裂かれたKINTSUGIヴィクトリアリング。実は母の名前「ヴィクトリア」の頭文字「V」からインスピレーションを受けているのだ。この大胆なデザインは、ミラモア創業当初からのデザインで、現在では地金タイプ、フロートタイプ、パヴェタイプの3バリエーションに進化しています。指を長く美しく見せる効果があり、アイキャッチーでありながらタイムレスなデザインとして高い人気を誇ります。
指がジュエリーで継がれているかのようなイメージで、健闘した自分の軌跡を称えるコンセプトです。

 

ミラモアの特徴である「フロートセッティング」は、マーキスとラウンドカットの天然ダイヤモンドを使用し、金継ぎの有機的な線をイメージしています。「ダイヤモンド継ぎ」というコンセプトで、着用者が天然ダイヤモンドで継がれているかのようにしたかったのです。
 

 

そして「V」はローマ数字で「5」を意味します。2019年にミラモアが誕生してから5年が経ちました。この5年間は自分にとっても大切な学びの期間でした。そのため、今年はヴィクトリアデザインをベースに、「Kintsugiヴィクトリアプラチナノ ワールシグネットリング」と「Kintsugiヴィクトリアプラチナノワールペンダント」の2型の5周年限定デザインを発表します。 

 

 

この真っ黒な素材はプラチナで、ノワールはフランス語で「黒」を意味します。ブラックロジウム加工を施すことで、ミステリアスで一見何かの「違和感」をあえて表現したかったのです。


インスピレーションの源は、福岡在住の作家、福村龍太さん。京都のある立礼茶室「然美」で福村さんの作品に初めて出会い、その作品と共に和菓子をいただいたことが始まりでした。その作品の錆びた外観に感じた違和感は今でも覚えており、これは金継ぎの哲学「侘び寂び」と通じるものだと感じました。陶器なのに錆びている?いや、これは錆びているのか?と自問自答をしました。アトリエ長とどうすればこの質感をジュエリーに落とし込めるかを繰り返し話し合いました。

プラチナノワールに福村さんの作品に敬意を表して、月面のようなテクスチャを加え、ブラックロジウム加工で仕上げることで、燻したようなプラチナのオマージュ作品を目指しました。
 

ロジウムは、プラチナやゴールドと同じく貴金属に分類される素材です。価値が高く、化学的に安定しているため、常温下では酸化や変色しにくい特性を持っています。また、その硬さから表面の傷つきにくさや、摩耗によるコーティングの剥がれにくさなど、耐久性に優れています。

このプラチナノワール作品を身につけることで、徐々にノワール加工が剥がれていくエイジングプロセスを楽しんでもらいたい。これは、着用者が作品を育てていくというコンセプトで、ファッションで言えば、デニムを着用しながら育てるような感覚に近いかもしれません。

そのミステリアスなルックに、さらに18金で作られたヴィクトリアリングを模したV字を加えることで、このノワールプラチナシグネットリング自体はまるで金継ぎされているかのように、着用することでノワールとイエローゴールドのコントラストが、渋くてかっこいい雰囲気を増してくれます。

 自分はただジュエリーをデザインするだけでなく、常にジュエリーの基礎を尊重しつつ、固定概念の安全地帯から「はみ出し」、ジュエリーという題材で、作品の可能性をどのように新しく広げていくかを追求していくことが好きかもしれません。

 

5周年限定モデルである「Kintsugiヴィクトリア プラチナノワールシグネットリング」と「Kintsugiヴィクトリアプラチナノワールペンダント」を、ぜひ直接ご覧になり、自分のクリエーションと日本の職人が作り上げた作品の深みを体感していただきたいと思います。

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