「壊れているのではなく、継がれている」

コラム

 

 

「壊れているのではなく、継がれている」


ジョージと鉛筆と。Vol.3では、ミラモアの代表コレクションであるKINTSUGIシリーズの誕生秘話をお届けします。


「着用者がジュエリーで金継ぎされていたら?」という閃きから、金継ぎの割れ目を研究し、有機的なラインからインスピレーションを得た。KINTSUGI I, II、そしてヴィクトリアリングの18金を用いたデザインは、自分の指をワイヤーで巻いたことで始まりました。

金継ぎとの出会いは、偶然ネットで見つけた動画で、タイ人が金継ぎの哲学と自己肯定の概念を比喩を用いて説明したのがきっかけでした。それまで金継ぎや日本美学に馴染みがなかったものの、瞬く間にその哲学に深く共感しました。
「金継ぎ」とは、陶器などの割れや欠けを漆で修復し、純金を塗って装飾する日本の伝統的な技法。漆はウルシの木から採れ、乾燥すると強力な接着剤になる。金継ぎの歴史は縄文時代まで遡り、漆が皮膚に触れるとかぶれることから、当時は「魔除け」としても信じられていたそう。


金継ぎでは、自然に割れた傷跡を「景色」として美しく捉え、それがデザインとなり作品に新しい命を吹き込む。身体の傷口は見つけやすいが、心の傷は外見からは見えにくいもの。裕福であれ貧しければ、男性であれ女性であれ、どんなセクシャリティを持っていても、人々は様々なものを抱えながら生活している。もちろん、自分もその一人です。


幼少期の逆境が燃料となり、この普遍的な哲学に深く魅了された自分は、クリエイターとしてこの考えに強いシンパシーを覚え、ミラモアを通して世界にこの考えを少しでもより広めたい。


表面に光沢に磨きあげられ、サイドにはマット加工が施されていることで、指輪が立体的に映えるようになっている。金継ぎの割れ目を思わせる美しい有機的なラインが指を一周するように設計した。マーキスカットとラウンドカットの天然ダイヤモンドを使用し、金継ぎのラインを表現した独特なセッティング方法は、「ダイヤモンド継ぎ」と呼んでおり、名前の通り「着用者がダイヤモンドで継がれている」コンセプト。


新作のミニKINTSUGIネックレスは、身につけると鎖骨がまるでジュエリーと継がれているかのようにデザインしました。KINTSUGIジュエリーは着用者の色鮮やかな物語を持ち、独自の過程を経ているため、他人と被ることはない。


結婚、離婚、自分用のリングとして、さまざまなライフタイミングに対応デザインのため多くのお客様に喜んでいただいているのが嬉しいものです。結婚はパートナーとの繋がりを象徴し、離婚は失敗ではなく、新たな人生への一歩となります。傷ついた自分は無力ではなく、経験を経て新しい自分を生み出す力に変わります。普段ジュエリーを身につけない人でも、コンセプトに共感してミラモアを初めてのジュエリーとして選ぶお客様も多いです。


ミラモアというブランドは、日本文化から学んだ美学を反映させることで、単なるジュエリーを超えた、より深い意義を持つ価値を追求しています。文化は一過性の流行ではなく、時間をかけて浸透するものです。ミラモアも、トレンドではなく、全ての人への浸透を目指しています。


皆さんにとって、金継ぎはどのような意味を持ちますか?
あなたのストーリーが僕のインスピレーションとなります。


金継ぎの教えはすべてに置き換えられる、日本が生み出した重要な哲学です。
心の傷、自らの過ち、さらには時事問題に至るまで。
僕自身、完璧からは程遠く、未熟さや不注意から人を傷つけたり、傷ついたりすることを繰り返してきました。それを受け入れ、認めることで僕たちは前進できるのではないでしょうか。
不完全さが愛嬌となり、その愛嬌があなたの魅力になるのです。


KINTSUGIジュエリーは、自己をつなぎ、ご縁を紡ぎ、次世代へ継承する一生物の宝物。『壊れているのではなく、継がれている』ということを忘れないで欲しい。


次回は日本文化との出会いと付き合い方についてご紹介しますね。


それではまた。

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